自転車関係の資格って義務じゃないんですよ! ってお話。
自転車屋に必要な資格はありません
現在のところ、自転車に関する「国家資格」はない… と思います。
ですから、自転車店で働いたり、開業したりするのに必須の資格はありません。
ですから、誰でも「自転車屋です」といえば、今すぐにでも自転車店になれます。
ただし、メーカーや代理店によっては「●●の資格を持っていること」を取引開始条件にしている場合もありますし、何かをする場合にはこの資格がいる! って条件があることもあります。
ですから特定の資格を持っていないと困る局面もある… かもしれません。
資格を持ってないとダメ! じゃない
資格は基本的に民間資格です。
持っていないとできないこともちょこちょこあります(TSマーク保険への加入とか)が、持っていないと自転車店を開けないってことはありませんので、何の資格も持っていない自転車屋さんも多いんじゃないでしょうか?
持ってるとどういいの?
持っていると、ある程度「これができる、これを知っている」が担保されたことになります。
しかし試験で問われる知識・技術は非常に限定的です。
ですから資格を持っているからといって、「自転車についてパーフェクト」なんていうわけは、絶対にありません。資格を持っていても自転車についてちっとも詳しくないとか、技術が足りない技術者さんも、きっといらっしゃるでしょう。
資格の有無は技術の高さを担保しない!?
反対に資格を持っていないからといって、技術や知識が足りないってこともありません。
受ければ受かるに決まっているけれど、「資格なんか必要ない」と受けに行かない方だっていますから。
資格は狭い範囲の目安?
資格は持っていると少し安心だけど… すごく狭い範囲の目安にしかならないってものじゃないか? と。
店主メカタはいくつかも技術資格を持っています。取ったはいいけど、維持にお金がかかるからもういいや! と、手放したものもあります。
が、どれも実技試験に関しては、シティサイクル(ママチャリ)については一切問われませんし、油圧ディスクブレーキや電動コンポに関する技術はまったくなくても受かるはず。
もちろんレトロ車も範囲外ですので、資格に受かったからって、アレもコレも整備・組立・修理できるってことは、まったく担保されません。
ペーパーテストもありますが、技術や歴史は問われても、商品知識や接客に関してはゼロ。ってことは? 自転車店としての何か? を判断してくれるものではなさそうです。
自転車の資格って、どんなのがある?
それぞれの資格はこんな感じ。
ちなみに侍サイクルの店主メカタはすべて1発合格しました。
自転車安全整備士、自転車技士
一応、別々の資格ですが、試験は一緒に行われますのでW受験が可能です。
自転車安全整備士があると、TSマーク保険に対応する資格者になれます。
- 試験内容 : 筆記・実技・面接
- 合格率 : 50~70%くらい?
- 受験資格 : 実務経験
- 実技試験 : スポーツバイクをバラして組み直す
前者は筆記・実技・面接、後者は筆記・実技試験があります。実技試験は共通。
受験には実務経験が必要ですので、受験者はお店やメーカー、代理店なんかの関係者です。
実技試験はそんなに精度も高くなくていいので、試験自体はそんなに難しくないのですが、とりあえず時間が厳しい。
この時間内にそれなりに収めるのが結構大変なので、試験前になると何度もバラして組み直す練習をすることになります。
試験に使うスポーツバイクには規定があって、それに合致するものを自分で買って持っていく形式。ですからクロスバイクを選ぶ人が多いです。
SBAA+
試験に合格すると「スポーツBAA PLUSマーク」が貼れるようになります。
- 試験内容 : 筆記(講習会あり)
- 合格率 : 高め?
- 受験資格 : 3年以上の実務経験、準ずる資格
- 実技試験 : なし
受験資格は3年以上のスポーツ用自転車の実務経験を有すること、「自転車安全整備士」「自転車技士」「SBM」を持っていること。「同等の技術を有する者」であればいいので、該当資格を持たない人は、別途実技試験があるようです。
キホンは講習会がありまして、それに参加してペーパーテストを受ける形式。合格率はわかりませんが、ペーパーだけですし、講習もありますので、合格率はかなり高いんじゃないでしょうか?
養成講座を受けた後、筆記と実技の修了認定試験がある形式。
- 試験内容 : 養成講座後、筆記と実技
- 合格率 : 30%?(10%を切ることも)
- 受験資格 : 20歳以上の自転車小売店従事者
- 実技試験 : 「整備」に関する部分を問う
先日(2016年春現在)は大阪で初の試験がありましたが、これまでは東京のみだったので、西日本の技術者には福音です。
それにしたって東京と大阪のみ。工具持参で行かなければならないので、受験するだけでも結構大変です。
実は結構な難関資格。合格率は30%とかいっていますが、実際は10%台のことも多いっていう。というか、この数回は20%に届いたことがなかったような気がします。
これも試験内容はスポーツ自転車のことのみ。
実技試験は「整備」に関する部分を問うものでした。資格としては総合的に知識や技術を試すもの。合格者は次回以降の養成講座(試験前講座)を無料で受講できるようになります。ですから、講座を受け続けることによって、最新情報を得たり、いろんな技術を学んだりできる点が、メリットになります。
だからといって、やっぱり「持っているだけで大丈夫」って感じはないんじゃないでしょうか?
まとめ
自転車の資格は基本的に「民間資格」です。
持ってないといけない資格もありませんので、誰でも今日から自転車店になれます。
どの資格も、聞かれる知識、試される技術は限定的ですので、持っているからといって「自転車店として十分な技術・知識を有している」と担保されているわけではありません。逆に持っていないからといってダメってわけでもありません。
資格を持っていたって、技術も知識もピンキリです。ですから「持っているから大丈夫」なんてわけではありませんので、そこにこだわらなくてもいいと思います。
どの試験も対策すれば合格率は上がりますし、一度取得したらその後は… って側面もありますので、正直「持っているから安心です」とはいえません。
じゃ、なんでお前は持ってるんだ? っていうと、信頼性を少しでも増すためと、勉強を重ねた成果としていいんじゃないのかな? ってこと。技術者のレベル(?)は資格の有り無しではなく、相手と話して、技術を観て、判断してくださいね。