年中ありますが、とくに春頃多いのが「防犯登録だけしてください」というお客さま。
「お店に断られた」「嫌な顔をされた」という話も多いので、どうしてそうなるのか? 店側の(勝手な)事情をご説明します。
勝手な事情ではありますが、ある意味仕方ない部分。知っていただいて、少しご理解いただけるときっとみんな幸せです。
他所で買った自転車の「防犯登録だけ」してってどういうこと?
自転車は基本、買ったお店で防犯登録します。
「よそで買ってきたから防犯登録だけして」にも大きく2つの方向性があります。
- 引っ越しによるもの
- 通販・中古など近隣自転車店以外の店で手に入れた
もちろん転勤や進学で引っ越して来られる方からのご依頼もあります。が、実質80%くらいは「通販で買ったから防犯登録して」ってケースです。
1. 引っ越しによるもの
これはどこの自転車店でもウェルカムなはず。
どこでも、誰でもあることですし、すごく忙しいタイミングとかでなければ、喜んで登録してくれるはず。
2. 通販・中古など近隣自転車店以外の店で手に入れた
問題はこっちです。
あとでご説明しますが、防犯登録はお店にとってメリットがほぼない… どころかマイナスなもの。
ですが、自転車店の義務として担っています。
だからその部分だけと言われてもなかなか… というのが本音
どうして嫌がられてしまうのか?
侍サイクルは「防犯登録だけ」も承ります。でも、お店によっては「お断り」ってこともあるようです。
でも、それもわかるんです。「防犯登録だけ」って方は断りたいって気持ちが。
だからって侍サイクルは断ったりはしませんが、「ああ、こういう理由なんだろうな」って理解できたってこと。
あ、どうしても忙しいタイミングだと、すごくお待ちいただくこともあるかもしれません。ご予約優先ではありますから!
じゃ、どうして「防犯登録だけ」っていうのは断りたいのか? 思いつくものをツラツラ。
- 儲からない
- 手続きが面倒くさい
- 持込の場合はトラブルもある
- 忙しい
- 顧客にならない???
1. 儲からない
防犯登録は儲かりません。
シールとか書類とか買っているんで、その原価(?)。原紙を送付する郵送料金、購入時の手数料。そしてそれに割く人員というか、時間というか… を考えると、利益がほぼないどころか、ヘタするとマイナスです。
ちなみに防犯登録料金は都道府県で決まっていますので、勝手に値段はつけられません。
別途いろんなものをくっつけて徴収しているところもあるようですが… 制度の性質から考えると、別途手数料を設定するのは、侍サイクルとしてはちがうと考えます。設定しているお店もあるようですが…
ですから、本当は「自転車を買ってくれた人へのサービス」であり、「今後顧客になってくれる人へのサービス」って意味合いのモノだったと思うんです。
自転車販売に付帯する義務ともいえるかもしれません。ですから「自転車を買わない」「今後顧客にもならない」って場合は、正直マイナスになるんです。
もちろん、ほかにもいろいろ周辺グッズを買ってくださる方や、そこからはじまって長いお付き合いになる方も多いんですよ。
でも、ホントにこれだけ。その後顔を観ることはないって方もやっぱりいらっしゃいます。すると… ってことです。
2. 手続きが面倒くさい
防犯登録の手続きって面倒くさいです。
まずは店頭で自転車の情報を調べて書く。お客さまに情報を書いてもらう。さらに防犯登録の書類について説明する。
表から見えるのはこれだけですが、この後も事務処理は続きます。
「台帳」みたいなのに情報を転記する、写しを保管する、原紙を防犯登録協会に送る。ここまでで一連。
細々としているので、結構な時間がかかったりします。奥方のような事務方がいる店はいいですが、チマチマ書類仕事はキライな自転車店も多いでしょうから、「いやだなぁ」ってところもあるんでしょう。
3. 持込の場合はトラブルもある
トラブル… が多いのもきっと嫌がられる原因のひとつ。
自転車を買ってもらった時の防犯登録はいいんですが、他店購入の場合はさらにいろいろ決まりがあります。
基本的には「盗難車じゃないでしょうね!」ってことをチェックするためだと思いますが… いろんな書類を持ってきてもらったり、確認をしたり…
実店舗が作った書類は大丈夫なのですが、通販の場合は書類が「買った自転車です」という証明にならないんじゃないか? と思う事例も多くあります。
たとえば、「購入証明」でも、すべての項目をお客さま自身が書いていて、お店のハンコが印刷だと、証明にならないじゃないか? って。そういう事例が増えてくると、持ち込みの防犯登録にはナイーブになるのもわかります。
所定の種類をお願いしているのに、すごく嫌なムードになることもありますし、「盗難車ちゃうわ」的なことを仰る場合もあったり… 証明ってむずかしいですね。
侍サイクルでは「自転車は通販で買うな」とずっと言い続けていますので、そもそも通販で買うこと自体を止めたいとは考えています。
ですから… って部分もあります。
4. 忙しい
春は自転車店の繁忙期です。すごくバタバタしていたりします。そのときに「防犯登録を」と言われると、「今は無理」ってなるのもわかるような。
侍サイクルの場合でも、ご予約の方に迷惑をかけることはしたくないですし、お客さまをお待たせしているときは、「別の日にしてください!」ってなるかもしれません。
5. 顧客にならない???
「防犯登録をきっかけに顧客になるかもしれない」「次はそこで買うよ」という声もありますし、もちろんそういう方もたくさんいらっしゃいます。
でも本当に防犯登録だけで、その後一切お見かけしない。パンク修理などもまったくなしという方もたくさんあります。
通販で自転車を買う人は「安いモノを求めている」方が多いです。そういう方が、定価販売の自転車店で自転車やグッズを買うんだろうか? とも思います。
次もやっぱり通販かもしれませんし、周辺グッズだって安く買えるところで買われるんじゃ? と。もちろん賢く買っていただくのが悪いんじゃないですけど…
シティサイクル(ママチャリ)の方は、そもそも自転車に興味がないので、これをキッカケに… という展開は少ないかもしれません。そう思うと、やっぱり… ってことなのかもしれません。
まとめ
こんな理由で断りたいんだろうな… って思うことをツラツラ。
だから何? ってことはないし、どうしなきゃいけないってこともない。
「防犯登録だけ」のお付き合いっていうのは、歓迎されないっていうのは、どこでも同じだと思います。
でも「防犯登録からはじまる」関係があるなら、きっと大歓迎なんでしょうけど。